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2010.09.24 (Fri)

嫉妬は反転すると?

パルスィx霖之助、長らくお待たせしました。
三日ほど前には完成していたものの、タイトルが決まらず……

まぁ、それはおいといてですね。
パルスィはよく嫉妬をネタにされるけど、ほんとは優しい娘なんですよ!
っていうのを表現できてたら嬉しいなー



※これはカップリング要素を含みますので、それらに耐性のない方、
 或いは許せない方は、読まないで下さい。

【More・・・】


「妬ましい……」


 ああやって、女を侍らせている男が妬ましい。
 水橋パルスィは古道具屋の店主、森近霖之助を見てそう感じた。
 ただ単にお客を相手にしているだけなのだが、パルスィにはそう見えなかった。


「幸せそうね……ぶち壊してやりたいわ」


 ここ最近は霖之助を観察していたのだが、どうにも色々な女が来るらしい。
 男も来たが、そんなものは除外して良い。
 いかに寝取ってやろうか。
 霖之助や他の少女たちが、嫉妬に狂う方法をパルスィは考える。


「とりあえず客として接近してみましょうか……ふふ、ふふふ」


 嫉妬に狂わせてやる。
 そう考えていたのだが……





「すっかり骨抜きにされちゃったわね……」


 霖之助と付き合いを深めるうちに、惚れてしまったのだ。
 当初の目的こそ果たせなかったが、パルスィ個人としては後悔などしていなかった。
 嫉妬を操る能力だからと言って、必ず嫉妬させる必要があるわけでもない。
 それに今は幸せなのだから、そういう気分にもなれない。


「ん、何か言ったかい?」
「単なる独り言よ」


 どうやら声が漏れたらしい。
 パルスィは少し反省したと同時に、
 本当は聞かれてしまったかもしれないという羞恥心で、顔が赤くなるのを感じた。


「ふむ……今日は客が来ないね」
「失礼ね、私がいるじゃない」
「おや、君は客なのかい?」


 皮肉を言ったつもりが、皮肉で返される。
 客なのかどうかと問われれば、客ではないのだろう。
 もう通い詰めて半年ほどになるだろうか?
 地底もすっかり開けた状態になったので、もう迷い人や妖怪を守る必要もない。


「まぁ、客とは言えないわよね」
「自覚はあるようだね」


 ツーか言われればカーと返すように、霖之助とパルスィの言葉のキャッチボールはスムーズに進む。


「いいじゃない、毎日食事も用意してあげてるんだし」
「ああ、今日も楽しみにしているよ」


 まただ。
 普段は皮肉屋だったりするのに、変なところで素直になる。
 こういうギャップにやられたのかもしれない。
 楽しみだと言ってくれることに嬉しくなり、鼓動が早くなる。


「そ、その……ありがと」


 何か言葉を返そうと思ったが、生憎と上手くは返せなかった。
 どうしても気恥ずかしい思いをした後は、舌が回らないものだ。


「こうしていると、夫婦みたい……」
「それもいいかもしれないね」
「え?」


 疑問を返したあとに、聞かれてしまったのだと気付く。
 全く。普段の独り言はほとんど気付かないのに、どうして今回に限って気付くのだろうか。

 羞恥心を隠そうと必死に思考するが、顔が熱くなっていくのがありありと分かる。
 

「え、あ……いいの?」
「僕は一向に構わないよ」
「本当に?」


 その言葉に霖之助は肯定の意を返す。
 パルスィの瞳からは涙が溢れ出している。
 霖之助は驚いたような顔をして、パルスィに声をかける。
 

「パルスィ?」
「ひっく……違うの、嬉しくてっ……やだ、とまらないぃ……」


 嬉しくて涙が出るのだと、霖之助に伝える。
 そうすると霖之助が、何処からか取り出したハンカチをパルスィの目に当てる。


「きゃっ!?
 もう、びっくりするじゃない……」
「店が濡れてしまうからね」


 意味のわからない言い訳だ、と思う。
 店が濡れるだなんて、涙が落ちた程度ではすぐに乾いてしまうというのに。


「ほんと、素直じゃないわね」
「お互い様だよ」


 霖之助にも自覚はあるらしい。
 パルスィ自身も、自分が素直でないことぐらいとうに理解している。


「仕方ないから、私が素直になってあげる」


 そう言うとパルスィは霖之助の顔に近付き、唇にキスをする。
 流石の霖之助もこれには驚き、眼を見開いてパルスィを見つめている。


「愛してるわ……」





終わり。
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